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グリーンポケット工法のご紹介
建設

▽概要
グリーンポケット工法は、急斜面の法面安定と景観緑化を同時に実現するために開発された工法です。モルタルやコンクリート吹付、法枠などによる構造的な法面保護に、低木やつる性植物の植栽工を組み合わせることで、従来は緑化が困難だった急勾配やコンクリート斜面にも「花と緑」による潤いをもたらします。
図1 グリーンポケット工法施工1年後の法面(ポケットタイプ P4型)。施工直後はポケット内に客土袋と若い植栽が配置されており、今後の生長によって緑化が進む状態です。数年かけて植物が生長すると、法面全体が緑化され景観が大きく向上します。
図2 施工後数年が経過し緑化が定着した法面の例。図1と同じ斜面の施工3年後の様子で、法面全面が緑で覆われていることがわかります。グリーンポケット工法により、従来は植生の維持が難しかった急斜面でも永続的な緑化が実現していることを示す事例です。
▽メリット
グリーンポケット工法には、従来の法面緑化工法と比べて次のようなメリットがあります。
- 急斜面でも適用可能:従来は永続的な緑化が困難とされていた1:05以下の急な勾配の法面や垂直に近い壁面でも施工でき、安定した緑化が維持できます。これは客土袋による堆土プランターが植物の生育基盤をしっかり保持するためで、吹付植生工では困難だった超急斜面の緑化を可能にしています。
(国道193号線 道路改良工事 高松空港進入路下部)1:05
- 植生の活着・生育が確実:厚層基材吹付などの種子散布とは異なり、苗木やつる植物を直接植栽するため活着率が高く、植物が根付いて成長しやすいです。客土袋内の培養土には土壌改良材や肥料、保水材が配合されており、無土壌の岩盤や乾燥しやすい急斜面でも植物の長期生育が可能になります。
(椛川ダム堤体下部放水路法面)1:05
- 多様な植物による景観向上:植生基盤が安定しているため低木から草花、つる性植物まで多種多様な植物を導入でき、四季折々の花や緑によって単調だった法面が潤いと安らぎのある空間に生まれ変わります。地域の気候や景観に合わせて在来種も活用でき、従来の画一的な緑化に比べてデザイン性の高い修景効果を得られます。
(高松東ファクトリーパーク7号調整池)
- 柔軟な配置設計と経済性:客土袋(プランター)の設置箇所や数量を自由に調整できるため、緑化の目的や目標に応じて部分的な植栽から全面緑化まで柔軟に対応できます。必要な場所に必要なだけ植栽する設計が可能で、無駄のない計画によりコスト縮減にもつながります。
(温泉通り地区急傾斜地崩壊防止工事)
- 環境改善と防災効果:コンクリートむき出しの灰色の法面を緑化することで景観美化だけでなく、夏季の強烈な日射反射や輻射熱を抑制し、歩行者やドライバーの眩しさ軽減や周辺温度の上昇抑制に寄与します。植物の蒸散作用による冷却効果で法面表面温度を15~20℃低減し、ヒートアイランド現象の緩和やコンクリートの風化・劣化防止にも効果があります。また植栽によるCO₂吸収や大気浄化効果も期待でき、周辺の生態系保全にも役立つ環境に優しい工法です。
(南草木地区農道施設工事)
- 排水機能の付加:客土袋自体が法面のフィルター材として働き、湧水や雨水を効率良く排出する効果もあります。植物の根系が水分を吸収・蒸散させることで強制排水の役割も果たし、法面内部の過剰水圧を低減して斜面安定に寄与します。
(一般農道財田地区農道施設工事)
以上のように、グリーンポケット工法は「構造物による安定」と「植物による緑化」の両面から法面の機能向上と環境改善を実現する点で、従来工法より優れた特徴を備えています。